錦二丁目を実証実験のステージとして使えるピッチイベント「N2 PITCH!」 報告
日時:2月15日火曜日 18時半~20時半
場所:IMOM space(現地会場)& オンライン(Zoom)
主催者:N2/Lab(錦二丁目エリアプラットフォーム)
司会進行:岡本・森田(N2/LAB)
ゲストスピーカー:株式会社MTG Ventures 藤田氏
錦二丁目まちづくり協議会会長 堀田氏
錦二丁目エリアマネジメント株式会社 名畑氏
名古屋商工会議所 村上氏
マチを実証実験の場として活用するN2 PITCH!
10社を超えるエントリーがある中、選考6社が決定致しました。
企業の新たなサービスを街で実証実験することで錦2丁目の価値を高めつつ、
サービスのクオリティの向上を目指す取り組み、N2 PITCH!
当日はそんな6社のプレゼンを聴講するため、約50名を超える方々にご参加頂きました。
プログラム
1. スタート・主旨説明
2. スタートアップマッチング事例紹介1 農福連携都市農業の実証実験(株式会社TOWING)
3. スタートアップマッチング事例紹介2 都心の回遊性向上に向けた実証実験の開始(neuet株式会社)
4. ピッチ8分×6社 (コメンテーター藤田氏・堀田氏・名古屋商工会議所)
5. パネルトーク 藤田氏×登壇6社×聴講者 / 総評
1. スタート・主旨説明
名畑さん:N2/LAB(錦二丁目エリアプラットフォーム)は2020年の7月に発足しました。企業、行政、各種団体、大学などの様々な人々が会員となっています。我々は地域として皆さんの新たなチャレンジをお手伝いすることで、地域も元気になっていければと考えています。
藤田さん:自分は、昼間人口の一人として参加させていただきます。変化が起きている中で、新しいスタートアップの皆さんからの提案を聞いて、良いまちづくりができればと思い参加させていただきました。
堀田さん:錦二丁目で生まれ育ちました。実際にこのまちで起きたことにはほぼ全て関わっています。地元の目線から見ていきたいと思います。
村上さん:地域経営団体です。商工と分け、まちづくり・産業の育成など、個々の事業者さんの活性から、地域活性を目指しています。
2. スタートアップマッチング事例紹介1 農福連携都市農業の実証実験
(株式会社TOWING 代表取締役 西田宏平氏)
錦二丁目にあるビルの屋上にて、栽培ユニットと都市農業を掛け合わせて実証実験を行っています。解決する農家課題は、農家の土づくりです。実際には、農家さんの多くが土づくりに時間をかけて試行錯誤しています。有機肥料ではより、難しいものになります。私たちは、植物の炭やスポンジ、有機肥料を一ヶ月間培養させて土を作っています。良い土とはなんでしょうか。一つには、有機肥料を高速で分解することができます。二点目には、土壌由来病原菌の活性抑制を行うことができます。また、炭素を固定し、環境に優しい土となっています。
サスティナブルな作物生産ユニット「宙農」は、現地で循環型のプロジェクトです。現在、錦二丁目のビルの屋上で収穫したハーブを、料理やドリンクにも活用していただいています。弊社の共同プロジェクトで様々な企業と関係を作ることができました。農業のスタートアップにとっては、このような連携を作ることがとても重要だと考えております。
次年度には、サスティナブルな食文化を事業化したいです。
サスティナブルベジタブルを錦二丁目内にある店舗さまに活用していただきたいと考えています。屋上菜園では、シェア農園を作り、顧客を巻き込みながら行っていきたいです。加えて、飲食店との連携も強化させていきたいです。農家に導入するサービスなども考えていますので、共同先の農家の作物も活用していきたいと考えています。プロジェクトを含めて、地域展開を実施していきたいという状況です。
有機栽培への転換は、農林水産省に初めて注目されています。日本では農業に対するリテラシーを伸ばしていく必要があります。都会農業を通じて、伸ばしていきたいと考えています。私たちは次世代への緑をプロジェクトの柱としています。
名畑さん:錦二丁目では福祉の事業所が屋上農園の世話をし、周辺飲食店で活用されていく仕組みですので、地域で循環するしごとの一歩と捉えています。
3.スタートアップマッチング事例紹介2 都心の回遊性向上に向けた実証実験の開始
(neuet株式会社 田口大輔氏)
弊社ではレンタサイクルとは違い、街中でどこでも借りて返すことのできる「自転車シェアリング」を行っています。自転車にあるQRコードが鍵となり開錠できます。名古屋では名古屋市さんと協定を結んだ上で行っており、現在は、東京浅草エリア、熊本でも行っています。名古屋では、名駅・栄・錦・大須・東別院など、仕事や遊び、住まいで使えるエリアになっています。初めは福岡からスタートし、名古屋の4倍の広さのエリアです。
錦二丁目エリアマネジメントさんには、駐輪場を探してもらいました。我々は自転車を置かせていただく地主さんに駐輪代の一部をお渡ししていることもあります。地主さんからすると、土地を貸すことで自分たちの利便性にもつながる上、まちづくりの原資として活用できるメリットがあります。
回遊性向上のためのモビリティシェアサイクルの実施のために、イベントでもタックを組んで行っていきたいと考えています。錦二丁目をフィールドに事業者同士で連携した取り組みも行っております。今後はデータ活用を行い、錦二丁目からの発信を広げていきたいです。
名畑さん:公共空間を活用したビジネスの構想は、私たち都市再生推進法人ならではの協働です。
4. ピッチ8分×6社 (コメンテーター藤田氏・堀田氏・名古屋商工会議所)
【株式会社TRYETING:長江祐樹さん】
■提案:HRBESTはシフト自動作成AIツールとなっております。
初期設定をしていただき、従業員の方に希望のシフトを提出していただくだけで、
後はAIが計算し条件に沿ったシフトを自動作成してくれる便利なツールです。
様々な現場の複雑なルールや労働基本法、休暇設定、スキル等の諸条件に対応しております。
介護・小売・飲食・宿泊・製造現場など、複雑なシフトを組む職場でご活用いただいています。
弊社はAIの会社です。スタートアップで新栄にオフィスを構えています。シフト作成の自動化のサービスを行っています。勤務シフトを作成する必要は全国で4000万人いますが、労働者からすると、生活の軸となるものです。重要な業務であるけれども、ベテランにしかできないものです。また、シフト作成は利益を生み出しません。弊社のシフト表では簡単に変更も可能です。弊社は、錦二丁目にオフィスを構えておりました。今回は、シフト作成の御代行を弊社が行い、錦二丁目出身の弊社がエリア内の飲食点などから行いたいと思います。また、弊社メディアにて紹介していきたいと考えております。
堀田さん:シフト調整とても大変。ついつい後回しになるけれどかなり困る作業でもある。中規模個人店(スタッフが7-8人)が多いのでニーズあるかも。
【有限会社ソウルメイト:茶原忠督さん】
■提案:遊休地・未利用地・高架下・オフィスビルにおけるVR・ARなどのデジタル技術を融合した都市型アドベンチャーパーク
スノーボードスクールを30年間、白馬岩岳スノーボードを運営しています。そこで、アドベンチャーパークを行っています。週末には多くの家族が訪れています。研修教育では、チームビルディングのために行っているほか、小中学校では校外学習で使われています。アドベンチャーパークでは、国内最大級のパークを作りました。高架下などでも行っているため、日常の中での「ゆらぎ」を目指しています。人々のつながりを作ることを目的とし、VRを通じて、人の力を借りないと乗り越えられないような繋がりを深めていく仕組みづくりを行っていきたいと考えています。
藤田さん:アトラクション施設、大人に限らず子どもも学ぶ流施設になることに期待。
【株式会社OnePile:岩田知旺さん】
■提案:錦二丁目のまちづくりを行うインターンシップのご提案
名古屋では長期インターンを設けている会社が圧倒的に少ないという問題があります。長期インターンでは、有給で企業の社員さんから行っている事業を学生ができることが魅力です。錦二丁目では、学生の受け入れを行っていただきたいです。受け入れる際には、学生に任せる業務の切り出しや、マネジメント、学生の給与を行っていただきたいです。
村上さん:インターンは注目が高まっていますね。留学の代わりなどにもニーズが高まっています。良いインターンは、学生にとっても企業にとっても顧客にとっても良いものだと思います。まちに与える価値が必要だと思いました。
【株式会社FAST ENGLISH:椎名陽介さん】
■提案:「空室を、利益を生み出す空間に変える」をコンセプトに、月額9,980円で通い放題の英会話レッスンをオンライン/リアル教室で展開しています。「英会話」というキーワードを用いて、錦2丁目の空いているスペース/店舗に対して、
・認知度向上
・集客数(訪問客数)アップ
・稼働率アップ
という角度から、課題解決をサポートいたします。
弊社では、月額1万円以下で英会話レッスンを行うことができるサービスを提供しています。英語を使う際に、完璧でなくても使えるようにすることを目指しています。空間を使い、海外に住む先生とzoomで中継を結び、リアル環境でレッスンを行うこともできます。空きスペースとネットワークサービスを行う取り組みを行っています。カラオケの個室の中でレッスンをする事業も行っています。
堀田さん:賃貸やっていないところや、昼と夜の営業時間以外の隙間スペースなどある。錦二丁目周辺エリアは商社などが多く、新しいマンションにも高級層が来るのでニーズありそう。教えるをキーワードにした交流の場になることに期待したい。
【株式会社Liquitous:栗本拓幸さん】
■提案:今回、Liquitousは参加型でまちづくりを考え、住民や企業間で合意形成を図っていく仕組みの実証を提案いたします。計画策定やルールづくり、アイデアソンなどに弊社の「Liqlid」をご活用いただき、まちのマネジメント側と住民・企業側の間の双方向のコミュニケーションを厚くしていきます。
まちの将来を考えるプロセスへの恒常的なお飾りではない住民参加と、将来的なシビックプライド涵養を目指します。
計画ばかりが残ってしまうという話をよく聞きます。住民の皆さんと行いたいという思いがある一方で、地元の人からは疑心感を抱かれる場合が多いです。我々は、じっくり話して、しっかり決めて形にすることを目的としています。オフラインとオンラインを併用することにより、その場にはいない人々も関わることができ、より多様な人が参画できる仕組みとなっています。
藤田さん:ツールとして非常に面白い。地域の外にいる人も関われるという意味では、今住んでいない地元の方にも街に関わるタイミングになる。
【株式会社Mellow:西真田寛人さん、横田達哉さん】
■提案:我々は、オフィス街、住宅街、病院といった多様なロケーションを停留所として、個性豊かな移動型店舗「ショップ・モビリティ」を配車するプラットフォームサービス「SHOP STOP」を運営しています。今回、錦2丁目にある公共空間や空地を活用して、錦2丁目のいる方々にSHOP STOPを通じて、サービス提供をします。また将来的には、錦2丁目内の事業者が移動型店舗でのビジネスを開始し、錦2丁目の外でも活躍できるような形を目指します。
我々は、移動型店舗のハブ機能となることを目指します。全国で590箇所置いています。フードだけでなく、アパレルなどの移動型店舗も行っています。今回、錦二丁目にある公共空間や空地を活用して、錦二丁目のいる方々にSHOP STOPを通じて、サービス提供をします。また将来的には、錦二丁目内の事業者が移動型店舗でのビジネスを開始し、錦二丁目の外でも活躍できるような形を目指します。他地域の例として、飲食店の告知を我々が行っているケースがあります。また、収益の一部をエリアマネジメントさんにお渡しすることもあります。我々の事業では、まちの理解が不可欠なのでこのような場をお借りすることができ感謝いたします。
村上さん:開業支援にも取り組んでいることが心強い。「創業塾」との連携も考えたい。街での取り組みとして、地域への波及効果を考えたい。地域店舗との兼ね合いが懸念点。
5. パネルトーク 藤田氏×登壇6社×聴講者 / 総評
名畑さん:アドベンチャーパークを街中でというのが周辺地域の企業のチームビルディングとしても効果的ではないかと。思いもよらぬ錦二丁目の未来を感じました。地域に住む子どもたちにもよさそう。古い建物の中でもVR体験できるものですか?
ソウルメイト 茶原さん:床面30-50cmと安全を確保できればリアルとミックスさせた体験もできます。
藤田さん:印象としては、まず6社中2社が名古屋、4社が市外からきているのがすごいですね。消滅都市はいっぱいある。名古屋の中でも特に変化の激しい錦二丁目のまちはいい題材になります。
岡本さん:名古屋以外の企業さんは、このpitchをどうやって見つけてくれましたか?
Liquitous 栗本さん:google検索から見つけました。まちづくりから何かご一緒できるところを探していたところでしたし、N2/LABの事例も実は知っていました。そこで何かできるのでは?と感じました。
岡本さん:名古屋から東京へ行くというのはありますが、名古屋に外から来るというのは滅多にない。
Liquitous 栗本さん:大手の企業は余白がない。また、企業としてやってしまうのでご一緒するタイミングもない。名古屋の規模感はご一緒する可能性があるように感じています。
Mellow 西真田さん:移動型店舗といいながらもまちづくりと切り離せないということを実感しています。エリアマネジメントに取り組んでいるこの地域に可能性を感じました。
藤田さん:フード系のトラック、他地域から錦二丁目にない業態なら問題ないと思います。地域のお店とバッティングしないようにコーディネートすることは可能なんですか?
Mellow 西真田さん:登録している事業者に対して出店募集するようなサービスになっています。その中でNGな線引きを引くことができます。
藤田さん:ファーストイングリッシュ、月1万円安くないですか?
FAST ENGLISH 椎名さん:安いです。売上を立てましょうというのが自分達の最初のミッションで、売上の立て方は空間を持っている人と相談しています。ただし、英会話で売上を立ててもらうというよりも空間を所有している方の本業で売上を立ててもらうということが重要だと考えています。例えば、ルノアールさんだと、レッスン後にお店を使ってもらうような流れを作っています。
小規模飲食店、居酒屋さんなんかも協力してくれています。1レッスン50分なので17時から英会話して、18時から居酒屋を利用してもらうということもやっています。お店のアイドルタイムや開店前の時間を有効活用するということを提案しています。
岡本さん:空間の利活用の一方で、ワンパイルさんの大学生の長期インターンの仕組みづくりも面白いと思いました。
藤田さん:学生に何をやらせるのかという切り分けが必要だとリアクションがありましたが、合わせて学生が街に対してどんなことができるのか言語化されていると良いのではないかなと。
OnePile 岩田さん:まず、まちづくりにどんな職能が生きるか考えないといけないです。一番力になれるのはSNS活用などではないかなと。
藤田さん:学生の柔らかい視点で動いてもらえるとよさそうですね。
OnePile 岩田さん:tiktokでタイムラインに流してもらうなど、SNSを活用することができるのはやはり高校生、大学生ですね。
岡本さん:登壇者の皆さん同士で聞いてみたいことはありますか?
FAST ENGLISH 椎名さん:アクティビティの一環で外国人がいたらキャンプ英会話ができます。そういった取り組みってすでにやられていますか?コラボなどをすることはできるのでしょうか?
ソウルメイト 茶原さん:英会話はハードルが高いように感じますが、アクティビティとコラボすることで楽しんでもらうような仕掛けができそうだなとは感じていました。
【総評】
藤田さん:まちづくり×スタートアップが新鮮だなと考えました。継続的に考えると街の幅を広げることもできますので、積極的に取り組んでもらいたいと思います。
名畑さんより今後の進め方に関して
・地域での実装に向け、一社ずつお打合せさせて下さい。
・6月にオープンするカフェ&エリマネ拠点を実装の場の一つとして構想したいと思います。
・会員企業で今回のスタートアップに興味のある方はぜひご連絡下さい。
・まだ会員でない方はぜひお問いあわせ下さい。